滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての
抗議及び要望
医療法人社団孝山会 滝山病院
管理者 朝倉重延 殿
全国自立生活センター協議会
東京都八王子市明神町4-11-11シルクヒルズ大塚1F
代表 平下耕三
精神障害プロジェクト一同
滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望
私たちは全国120か所にある、障害者の権利擁護と地域での自立生活を実現する「自立生活センター」の集まりです。私たちは障害の種別を問わず、人として尊厳をもって地域で自立生活することをサポートし、また地域社会の変革に取り組んでいます。
2023年2月15日のマスコミ報道で、昨年4月に滝山病院の看護師が患者に暴行をはたらいた容疑で警察に逮捕される事件が発覚しました。警視庁はさらに3人が暴行をはたらいた容疑で捜査をしていると報道されています。この様子は監視カメラに「しゃべるな、黙ってろ」と頭を叩く場面が収められており、はっきりと暴行の場面が映されています。
患者を支援する代理人弁護士の2月17日の記者会見によると、「患者約10人から、虐待を受けたとか退院したいとの相談があった」「院内で記録された映像や音声などを分析したところ少なくとも10人以上の職員が暴行や暴言などの虐待行為を行った可能性がある」「被害にあった患者は少なくとも20名になる」と指摘されています。音声データには「もっと本気で行くぞ。腕の骨折るぞ」などの録音もされ、面会時に弁護士に泣きながら「連れて帰ってほしい」と訴えた患者もいたと言います。さらには東京都の昨年の6月の実地調査により「国から求められている看護師らを対象にした虐待や人権に関する研修を、十分に行っていない」と口頭指導を受けています。また違法な身体拘束の疑いがあると報道され、このような状況から暴行・暴言は昨年の1月から4月にかけてだけ行われたとは考えにくく、日常的に暴力行為が蔓延し、それを管理者が見過ごしていた可能性が深く懸念されます。症状や強制入院で自由に退院することができない患者に対し、日常的に暴言・暴力・安易な身体拘束を行うことは、医療従事者としてあり得ない非人道的な行為であり、人間の尊厳を奪う決して許せない行動です。私たちは障害当事者として激しい怒りと憤り、深い悲しみを抑えることができません。
そして更に、2月25日にNHKで放送されたETV特集「ルポ 死亡退院 ~精神医療・闇の実態~」で明るみにされた内容はあまりにも衝撃的でした。
昨年の10月には国連障害者権利委員会から総括所見が出されており、その中で精神科病院での身体拘束、強制入院、虐待などの人権侵害行為は直ちに是正することが求められています。私たちは、一昨年神戸市において発覚した神出病院の虐待事件が大きく問題視された中、自らの病院内の虐待を見過ごし、人権侵害を放置した管理者と病院の責任を追求するとともに、患者の人権を軽視した病院運営と現場の人権意識の乏しさに厳重に抗議し直ちに対策を講じるとともに、放送されたような実態が真実であれば、滝山病院の解体と廃業を強く求めます。
記
<直ちに行うこと>
- 警察や行政への全面的な協力、情報提供と第3者機関による徹底した調査や患者一人一人への聞き取りを行い、虐待の全容を隠すことなく明らかにし、市民に報告すること
- 病院管理者、経営者は東京都の口頭指導を受けていたにも関わらず放置し、このような事件を起こした責任をとること
- 虐待を受けた患者のみならず、すべての患者に精神的なケアを行い、退院・転院希望の調査、希望者に対する退院・転院を滞りなく進めること
- 内部通報者が不当な取り扱い、不利益を被ることのないよう対策を講じ、その対策を公表すること
- 現場の医師・看護師のみならず病院管理者、経営者を含めたすべての人に、人権教育を直ちに行い、2度とこのような事件の起こらないよう、現場の改革をすること
- 病院関係者への人権教育にあたっては、長年障害者の権利擁護を行っている当団体の人権委員会が開催する「障害者虐待ワークショップ」など当事者視点での人権研修を取り入れ改革を進めること
通常であれば医師、看護師等職員の人権教育を徹底した上、病院運営を改革して新しい体制を作ることを要望するところであるが、2023年2月26日にNHKで放送された内容を踏まえると、暴力・虐待事件、病院運営体制、方針が社会的に許される事柄ではないことから、滝山病院は警察、行政、第3による調査委員会に全ての記録と真実を述べ、実態を明らかにした上で、全ての責任をとり滝山病院は病院を解体し、廃業すること。
<解体・廃業を求める理由>
- 多数の職員が人権を無視した暴言、暴力を日常的に行なっていたこと
- 弁護士との面会は患者の権利であるが、実際患者が患者が面会をすると、後から暴言・暴力を加えること
- 看護師長、ベテランの看護師は本来新人看護師に対し、正しい記録の書き方、人権を守り看護の大切さを教えるところ、自分達の病院側の都合の良いやり方で人権を無視したやり方をそのまま教育していること
- カルテに虚偽の書き込みをしていたこと
- 録音された音声によれば看護師長院長も暴行やカルテの虚偽の記録を承知していたこと
- 死亡退院が全体の78%という異常な数字であること
- 根本的な糖尿病などの身体的疾患が悪化していても治療をせず、時には床ずれを深部組織が見えるほど放置し悪化させ、生命だけを長引かせるだけの対処をしていること
- 医療保護入院時、医師が威圧的な診察をした上で、患者に虚偽の出来事を作り出し、行政に対しても虚偽の報告をしたこと。また家族に対しても虚偽の報告をしたこと
- 医院長は旧朝倉病院で大量の死者を出し、保険医の取り消しを受けたにもかかわらず、今回また病院運営者として復帰し、虐待、虚偽の報告、人権無視など前回同様の虐待行為をしていること
2023年3月1日
滝山病院の看護師による患者暴行事件に関しての抗議及び要望