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名古屋城建て替え問題について

私たち全国自立生活センター協議会は、2018年5月28日の第27回全国自立生活センター協議会協議員総会にて下記のアピール文を採択いたしました。

名古屋市長 河村たかし様

名古屋城建て替え工事
誰もが天守閣まで行けるエレベーターの設置を求める
全国自立生活センター協議会(JIL)アピール

全国自立生活センター協議会(JIL)
代表 平下 耕三
192-0046 東京都八王子市明神町4-11-11シルクヒルズ大塚1F
TEL:0426-60-7747 FAX:0426-60-7746

私たちは、全国各地にある計127箇所の自立生活センターの協議団体であり、障害当事者が主体となって、障害のある人もない人も、誰もが分け隔たれることなく、ともに育ち、学び、働き、遊ぶなど、ともに生きることがあたり前の社会をつくることを目指して活動しています。本人と電動車椅子とを合わせた総重量が100kg以上、200kg以上となる会員も多数所属している団体です。

私たちは、この度名古屋市が地元の障害者たちの強い反対の声があることを知りながら、かつ、反対の理由をよく聞き、十分な検討をすることなく、名古屋城木造新天守閣にエレベーターを設置しない方針を決めたことに対し、強い怒りと深い失望を抱えています。

河村たかし市長は、現天守閣のバリアフリーが不十分であることを挙げ、市がエレベーターの代替策とする「新技術の開発によるバリアフリー」によって、むしろ今よりも良くなる旨の発言をされ、その具体的な案として「階段を上がっていく介護ロボット」「はしご車」などを挙げたとの報道がされています。エレベーターを設置しない理由は、「史実に忠実な復元ではない」ということですが、エレベーターさえ取り付けなければ、事実に忠実な復元となるのでしょうか。復元とはいえ不特定多数の来客のある新築の建物である以上、スプリンクラーの設置や耐震基準をクリアする構造にしなければならない時点で、史実に忠実とはいえません。また、4年後の完成時に新技術が実用化できていなかった時の責任は誰がどのように取れるというのでしょうか。

私たちは、名古屋城天守閣が建築当時のまま現代も残っている歴史的建築物であるならば、それを壊してまでエレベーターの設置を要求しているのではありません。わざわざ壊して建て替える工事であるのにもかかわらず、「史実に忠実な復元」という名の下に今よりもバリアフルな建物にし、なんの裏付けもない新技術を掲げ、障害者権利条約、障害者基本法・差別解消法、愛知県条例といったものの趣旨や理念を無視し、歩行の困難なものたちを排除しようと決めたことに怒っているのです。

これは明らかに障害者差別です。私たちは、条約・法律・条例をも反故にする名古屋市の方針に断固抗議し、次のような要望をいたします。

1.   名古屋城木造天守閣復元工事を即刻中止すること
2.   エレベーターを設置しない方針を全面的に見直すこと
3.   新技術が実用化され、エレベーターの代替手段として十分機能するものと認知されるまでは工事を中止し、障害者団体を交えた話し合いの場を設けること

以上