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国立病院機構鈴鹿病院における虐待事案
に対する抗議文
に対する抗議文
2024年7月25日
国立病院機構鈴鹿病院 病院長 殿
三重県知事 殿
全国自立生活センター協議会
代表 平下 耕三
国立病院機構鈴鹿病院における虐待事案に対する抗議文
私たち、全国自立生活センター協議会は、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、地域の中で共に生きる社会の実現を目指して活動をする障害当事者団体です。全国100ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。
この度、鈴鹿病院における医師や看護師による入院患者に対する虐待行為が確認されたとの報道を受け、深い憤りと強い衝撃を感じております。
報道によれば、鈴鹿病院では昨年、医師や看護師ら8人が障害のある患者に対して「ごみ」「ダンゴムシみたい」などの暴言を吐くといった虐待行為が合計36件確認されたとのことです。また、入浴後の患者をバスタオルだけで15分間放置するなどの人間の尊厳を無視した不適切な対応が行われたことが明らかになりました。これらの行為は、患者の尊厳を著しく損なうものであり、絶対に許されるべきではありません。
さらに、貴院がこれらの事案を把握していながら、自治体への通報を怠っていたことは、障害者虐待防止法に明確に違反しており、極めて遺憾です。このような対応は、障害者やその家族の信頼を完全に失うばかりでなく、貴院の信頼性にも深刻な損害を与えるものです。
私たちは以下の点について、強く抗議し、直ちに改善を求めます。
≪当事者への謝罪≫
●直接の被害を受けた患者およびその家族に対して、貴院の最高責任者から正式かつ誠実な謝罪を行うこと。
≪再発防止策の徹底≫
●今後同様の事態が発生しないよう、職員に対する徹底した教育・指導を行うこと。
●定期的な内部監査および外部からの厳格な監査を実施し、その結果を公表すること。
≪透明性の確保≫
●今回の事案に関する本人・家族等への聞き取り等、詳細な調査報告を行い、その結果を全ての関係者やマスメディアに公開すること。
≪自治体との連携強化≫
●障害者虐待防止法に基づく義務を果たし、自治体への迅速な通報および連携を強化すること。
≪虐待防止に関する研修の徹底≫
●二度と虐待を起こさないために人権意識を高めるための研修を必ず行うこと。 (なお、私たち全国自立生活センター協議会は、障害のある当事者による虐待防止 ワークショップを実施していますので、研修に協力することが可能です)
≪社会的入院の精査と地域移行の仕組みづくり≫
●現行の障害者施策においても施設や病院からの地域移行が推奨されており、貴院における社会的入院の精査と地域移行の仕組みづくりを早急に行い、地域の相談支援事業所等、関係機関と連携協力し、患者の地域移行に取り組むこと。
これらに関して検討をし、結果を報告すると共に経緯、謝罪、再発防止対策をWEBサイトにおいて公表することをお願い致します。
また、三重県に対しても、以下の点について強く要望いたします。
≪監視体制の強化≫
●障害者福祉施設や医療機関に対する定期的かつ厳格な監査を実施し、虐待行為が発生しないよう予防策を講じること。
≪通報制度の周知徹底≫
●障害者虐待防止法に基づく通報制度を医療機関や福祉施設に徹底的に周知し、早期発見・早期対応が行える体制を整えること。
支援体制の充実
●虐待被害者およびその家族に対する支援体制を強化し、必要なサポートを迅速かつ適切に提供すること。
私たちは、障害者が安心して医療を受けられる環境の整備を求め、貴院および三重県が今回の問題を真摯に受け止め、迅速かつ具体的な対応を取ることを強く望みます。
以上
国立病院機構鈴鹿病院における虐待事案に対する抗議文
旧優生保護法国家賠償の最高裁判決
に関する声明
に関する声明
2024年7月12日
旧優生保護法国家賠償の最高裁判決に関する声明
全国自立生活センター協議会
代表 平下耕三
私たち、全国自立生活センター協議会は、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、地域の中で共に生きる社会の実現を目指して活動をする障害当事者団体です。全国100ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。
7月3日、旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めている裁判のうち、仙台や東京などで起こされた5つの裁判の判決が最高裁判所大法廷で言い渡されました。
戸倉三郎裁判長は、「旧優生保護法の立法目的は、当時の社会状況を考えても正当とは言えない、生殖能力の喪失という重大な犠牲を求めるもので、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、憲法第13条に違反する」と指摘しました。また、障害のある者などに対する取り扱いで、法の下の平等を定めた憲法第14条にも違反するとして、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断を示しました。そのうえで原告側の訴えを認め、5件のうち4件で国に賠償を命じる判決が確定しました。
不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」については、「この裁判で請求権が消滅したとして国が賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し容認できない」として認めませんでした。今回の最高裁での判決を私たちは支持します。
他方、1996(平成8)年まで48年間続いた旧優生保護法は、障害を理由とした不妊手術を認め、手術を受けた人は全国でおよそ1万5000人に上るとされています。
不良な子孫を残さないという目的で生殖能力を失わせ、自己決定権を奪ったことは、国家として障害のある私たちの存在を否定した極めて重大な人権侵害です。法改正後も国会で適切かつ速やかな補償の措置を講じることが強く期待されたにも関わらず、一時金320万円の支給にとどまり、国は不誠実な対応に終始しました。
今後は、国として明確な謝罪を求めます。また、手術を受けた人は全国で2万5000人に及んでいます。現在では、一時金を申請した一部の人にしか支給されていません。今後、立法での解決が求められますが、多くの被害者が声をあげられる仕組みを構築し、すべての被害者が救済され、適切な支援が受けられることを強く求めます。再発防止の取り組みとしては、優生保護法の歴史とその影響を正しく理解し、広く社会に共有するための教育と啓発活動を行い、すべての人々の人権を最大限尊重する法制度を構築し、差別や不当な扱いを排除するための見直しを行うことを求めます。
そして、政府のみではなく、マスメディアなどを含め、すべての人々が尊厳を持って生活できる社会の実現に向けた取り組みを、私たちと共により加速させていくことを求めます。
以上
旧優生保護法国家賠償の最高裁判決に関する声明