旧優生保護法国家賠償の最高裁判決
に関する声明
2024年7月12日
旧優生保護法国家賠償の最高裁判決に関する声明
全国自立生活センター協議会
代表 平下耕三
私たち、全国自立生活センター協議会は、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、地域の中で共に生きる社会の実現を目指して活動をする障害当事者団体です。全国100ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。
7月3日、旧優生保護法のもとで障害などを理由に不妊手術を強制された人たちが国に賠償を求めている裁判のうち、仙台や東京などで起こされた5つの裁判の判決が最高裁判所大法廷で言い渡されました。
戸倉三郎裁判長は、「旧優生保護法の立法目的は、当時の社会状況を考えても正当とは言えない、生殖能力の喪失という重大な犠牲を求めるもので、個人の尊厳と人格の尊重の精神に著しく反し、憲法第13条に違反する」と指摘しました。また、障害のある者などに対する取り扱いで、法の下の平等を定めた憲法第14条にも違反するとして、旧優生保護法は憲法違反だとする初めての判断を示しました。そのうえで原告側の訴えを認め、5件のうち4件で国に賠償を命じる判決が確定しました。
不法行為から20年が過ぎると賠償を求める権利がなくなる「除斥期間」については、「この裁判で請求権が消滅したとして国が賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し容認できない」として認めませんでした。今回の最高裁での判決を私たちは支持します。
他方、1996(平成8)年まで48年間続いた旧優生保護法は、障害を理由とした不妊手術を認め、手術を受けた人は全国でおよそ1万5000人に上るとされています。
不良な子孫を残さないという目的で生殖能力を失わせ、自己決定権を奪ったことは、国家として障害のある私たちの存在を否定した極めて重大な人権侵害です。法改正後も国会で適切かつ速やかな補償の措置を講じることが強く期待されたにも関わらず、一時金320万円の支給にとどまり、国は不誠実な対応に終始しました。
今後は、国として明確な謝罪を求めます。また、手術を受けた人は全国で2万5000人に及んでいます。現在では、一時金を申請した一部の人にしか支給されていません。今後、立法での解決が求められますが、多くの被害者が声をあげられる仕組みを構築し、すべての被害者が救済され、適切な支援が受けられることを強く求めます。再発防止の取り組みとしては、優生保護法の歴史とその影響を正しく理解し、広く社会に共有するための教育と啓発活動を行い、すべての人々の人権を最大限尊重する法制度を構築し、差別や不当な扱いを排除するための見直しを行うことを求めます。
そして、政府のみではなく、マスメディアなどを含め、すべての人々が尊厳を持って生活できる社会の実現に向けた取り組みを、私たちと共により加速させていくことを求めます。
以上
旧優生保護法国家賠償の最高裁判決に関する声明