2022年3月2日 旧優生保護法の大阪高裁の判決に対する声明 全国自立生活センター協議会         代表 平下 耕三 私たちは、どんな重度な障害があっても地域で当たり前に生活し、障害のない人と同じ権利を持ち、障害者権利条約の完全実施に向けて障害のある人とない人が分け隔てられることなく、誰もが差別されず、共に生きられる社会(インクルーシブな社会)を目指して活動する障害当事者団体です。 全国110ヶ所を超える障害当事者団体(自立生活センター)で構成しています。 2022年2月22日、旧優生保護法のもとで不妊手術を強いられたことは憲法違反だとして、聴覚障害のある夫婦らが国に賠償を求めた裁判で、大阪高等裁判所(太田晃註裁判長)は大阪地裁の判決を覆し、国に賠償を命じる判決を言い渡しました。 2018 年 1 月、宮城県の女性 2 人が 10 代のとき、強制的に不妊手術をされたとして、国 を相手にとって裁判を起こしたことをきっかけに全国各地で起こした裁判で初の勝訴判決となりました。判決では、1審判決で認められなかった賠償請求権が消滅する除斤期間に関し、「そのまま適用することは正義、公正の理念に反する」と判断しました。まさに除斤期間を適用しなかったことを強く支持します。 一連の旧優生保護法訴訟では、原告はいずれも高齢となっており、全国25名の原告のうち、すでに4名の方が亡くなられています。今回の控訴人の80代の夫は、「高齢なので国が上告すれば、判決まで待てるか不安なので上告しないでほしい」と求めています。 国に対しては、上告せずに速やかに本判決を確定させること、控訴人らすべての優生保護法被害者に謝罪と賠償することを強く求めます。そして、未だ声を上げることのできない被害者への更なる調査と、二度と同じ過ちを繰り返さないための検証、一時金支給法の抜本改正を行い、優生思想のない社会にするための施策を講じることを強く求めます。 私たち全国自立生活センター協議会は、全国の仲間たちに今回の全国で初めてとなる勝訴判決をこのまま確定させるべく国に上告しないよう声を上げることを呼びかけます。そして、すべての被害者の方々が救われるよう、全国各地の裁判での勝訴を目指し、傍聴をはじめとする様々な支援を行います。 障害のある人が一人の人間として尊重され、命の重さや尊さ、不要な命などなく、人間の存在そのものに価値があることを訴え続け、二度と同じ過ちを繰り返させないことを強く求めていきます。