2020年5月11日 厚生労働大臣 加藤 勝信 様 介助の必要な障害者・児が新型コロナウィルス感染症に感染した場合の対策に関する要望 全国自立生活センター協議会(JIL) NPO法人 ALS/MNDサポートセンターさくら会 貴省におかれましては、このコロナ禍において臨機応変な様々な規制緩和や対策にご尽力いただき、感謝申し上げます。 私たちは、1日24時間等の常時介助を必要とする重度障害者を中心に、全国各地にある加盟団体において障害者の自立支援に関係する様々な活動をしておりますが、中でも訪問系の介助サービス事業は障害者の自立生活と生命を支える根幹であり、必要不可欠なものとして実施しています。 現在世界中を震撼させている新型コロナウィルス感染症の脅威は、当然障害者にも、介助者にも襲いかかってきます。幸い、今までのところ、加盟団体の介助利用者にも介助スタッフにも感染者(PCR検査陽性者)は発生しておりませんが、今後いつ発生してもおかしくない状況が迫っていると、日々戦々恐々としております。もちろん、考え得る感染防止対策を講じ、その徹底に努めておりますが、一度感染者が発生してしまうと介助サービスの継続が非常に困難になることは明らかです。 介助サービス提供者として目下の悩みは、 ①介助利用者も介助者も、感染の疑わしい症状があっても、PCR検査のハードルが高過ぎて、ほとんど検査を受けさせてもらえないため、不安ばかりが募り、介助体制の維持が困難。 ②各センターの介助サービス利用者、スタッフに、一人でも感染者が出た場合、介助サービスの提供がどこまで維持できるのか? ③入院が難しい重度障害者が感染した場合、実際にどこまでの装備が可能なのか?(簡易陰圧室、陽圧ヘルメットを手作りして、完全防備で介助など) ④また、装備が揃ったとしても、在宅でどこまで対応が可能なのか?(専属の介助体制の構築、使用品との管理など) ⑤介助者が行くのを拒否した場合、休業補償ができるのか?(あるいは、感染した場合の補償はどうするのか?) ⑥強度行動障害のある知的障害者など、どのように対応するべきか?(外出自粛困難。本人はマスクを外してしまう他、介助者のマスクも取ってしまう。外であちこち触った手で介助者の顔や体をいっぱい触ってくる。飛び出し防止のため、外出時は常に密着している必要があるetc…) ⑦さらに⑥のような人が感染(陽性反応)しても、症状が軽く在宅療養となった場合、外出を抑制できるのか?(今まで否定してきた身体拘束や薬剤使用を容認するしかないのか?) ⑧たとえ入院したとしても、医療体制が逼迫している中で、身体拘束、薬剤使用意外に行動抑制の手立てはあるのか?(人権保障はできるのか?) 考えれば考えるほど出口の見えないブラックホールに吸い込まれていく感じであり、これはとても一事業所だけで解決できる問題ではないと思います。 是非、国としても、更なる対策を講じていただきたく、以下の通り要望いたします。 記 1.体調不良や感染者の接触者等で、感染の疑いが生じた障害者・児、及びそのヘルパーや家族は、速やかにPCR検査を受けられるようにしてください。 2.その上で、感染した障害者・児の介助に入った場合の介護報酬を、医療者と同様に増額してください。 3.治療の有効性があるとされる薬剤の報告が出始めています。感染した障害者・児が在宅療養となった場合、治療の有効性が認められる薬について、難病など基礎疾患がある人への投与の安全性を確認の上で早期に承認し、訪問診療での使用を可能にしてください。 4.※地域単位での感染防御資材の配備の仕組み(要介護状態にある陽性者・濃厚接触者に在宅医療・介護チームが対応する必要が生じた際に即時対応できるように)を構築してください。 5.※介護職にも分かりやすい感染防御の知識・技術の周知(陽性者・濃厚接触者に対応する医療 職・介護職・家族そして本人が正しい知識と手技を獲得できるための支援)の支援をしてください。 ※COVID-19陽性者対応を見据えた在宅医療・介護現場への 感染防御資材等供給支援プロジェクト」ご参照 https://covid19hc.info/wp-content/uploads/2020/04/ppe.pdf 以上 <連絡先> 全国自立生活センター協議会【JIL新型コロナウィルス対策本部】 https://jiloffice1991.wixsite.com/jilcoronataisaku 〒192-0046東京都八王子市明神町4-11-11-1F TEL:042-660-7747 FAX:042-660-7746 E-mail:(団体)office@j-il.jp