「6.9障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」
                                         

[マスコミ報道] 
[6.22継続交渉当日報告]
[6.9全国大行動当日報告]
[6.9交渉団報告]
6.22継続交渉当日報告
 6月22日午後4時より、厚生労働省障害福祉部関係3課と「6.9障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会との間で交渉が持たれた。この交渉は「6.9全国大行動」行動の一環として行われた申し入れ行動の際に、厚労省側から6項目の申し入れ項目に対して何一つ明確な回答が示されなかったため、改めて厚労省としての責任ある回答を求めるということで行われたものである。実行委員会としては再度の交渉にあたって小規模の集会を開き交渉に臨む代表団を送り出すという趣旨で、都内の団体を中心に集会への参加を呼びかけた。この呼びかけに対して都内の団体だけではなく、大阪、名古屋、福岡、北海道、福井、山口といった地域からも参加者が集まり、全体として300人を超える規模の集会となった。日比谷公園草地広場において行われた集会では、6.9以降の状況報告と申し入れ事項を改めて全体で確認し、全国各地、障害種別を超えた25人の代表団を全体の拍手をもって送りだした。
 
 厚労省側は、障害保健福祉部の法令企画係、在宅支援係、精神保健福祉課の各係長クラスの出席だった。6月9日の交渉は課長補佐が出席し、「(次回交渉では)本日の申し入れに対する回答とやりとりを、責任を持った者が出席して行う」ということだったはずだった。「責任を持った者か出席すると言っていたのに、なぜ課長補佐よりも下の係長が対応するのか!」と抗議の声が飛ぶ。「障害保健福祉部としての回答を責任をもって行う」との回答に終始し、らちが開かない。時間がもったいないので、とりあえず回答をさせることになった。だが、この回答も、いずれも実質的な内容がなく、私たちからの申し入れ事項については、「要望として承らせて頂く」の通り一遍の回答に終始した。

  「25日の社保審・障害者部会では、介護保険との統合問題での「中間とりまとめ」を出す予定になっているのに、こんな回答では帰れない」「全国から心配して集まった仲間に説明できない」との声が次々にあがる。
 
 「18日のヒアリングでも明確に賛成したのは1団体だけで、多くの団体が反対、賛成できないと言っていたではないか。こうした中、無理やり『統合』の結論にすることはできないはずだ」と追及すると、「部会で色々とご議論を頂き検討して頂いているところ」と責任逃れの回答。それに対して、「部会で介護保険との統合を議題にしようとしたのは、事務局・厚労省ではないか」「事務局としてはどういう認識なのか?」と追及する。
 
 そうすると、「団体の中には、6月4日の3委員の案には賛成というような意見もあった」と回答があったので、「厚労省に都合のよい部分だけ、引用するのはおかしい」「1月の塩田障害保健福祉部長の障害者団体の反対することを、進めることはできないという約束は生きているのだろうと、さらに怒りの声が飛ぶ。
 
 その後、ピープルファーストの仲間からは「僕たちにも分かるように説明をしてほしい。僕たちが分からない内に、勝手に決めるのはやめてほしい」と皆の気持ちを代表した意見提起があった。さらには、ALS当事者の橋本さんからは、「2000年の介護保険の時も、直前になって変わって大変だった。もう、私たちの生活を脅かすのはやめてほしい」と体験に基づく提起があった。また、精神の関係者からは、「今日の回答では全然納得いかない。精神障害者の地域生活支援にもっと責任をもってほしい」との声があがる。
 
 平行線が続く中、実行委員会代表の横山さんから、「今日の交渉でメモをとるのならば、私たちの団体のところに見学にきて、当事者の声・実態に学んでほしい」との提案があった。さらに、「今日の段階で部会で検討中というのならば、次回は部会のとりまとめを受けて、厚労省はどうするのか答えてほしい。その時は、ちゃんと課長が出席してほしい」と要望する。
 
 そして、再度、障害者部会でどんな結論になっても、厚労省としては塩田部長の「障害者団体の反対することを、進めることはできない」との約束は守るのかと重ねて問いただしたところ、「部長のいったことは、今も変わらない。額面通り受け取ってもらっていい」と回答があった。私たちからは、「障害者団体の中には、私たちも入っているのだな」と確認をした。
 
 以上のように、実質的なやりとりが乏しい内容となったが、1月の部長発言が「今も変わらない、額面通り受け取ってもらっていい」ということと、この問題に関しては引き続き実行委員会との間で話し合いを継続していくことを確認して、交渉を終えた。
 
 今後、この発言を遵守させるように、世論への働きかけを行うとともに、次の行動を準備していくことが重要だ。

6.9全国大行動当日報告
 当日は梅雨時ということもあり雨も心配されたが、早い時間から集会会場の日比谷公園の草地広場には全国各地からの参加者が集まり、集合時間には、広場内に収まりきらないほどの人数に膨れあった。最終的には北海道から沖縄まで全国から1200人の障害当事者、支援者、関係者が集まった。

 集会は12時30分少し前に始まり、樋口恵子氏、川元恭子氏の司会で進められ、まず主催者の実行委員委員長、横山氏より挨拶があった。続いて尾上氏より今回の行動に至るまでの経過説明がなされた。今年1月、厚労省に介護制度改革本部が設置され支援費制度と介護保険との統合がにわかに議論に上がり現在まで他に類を見ない速さで議論が進められている状況が報告された。

次に来賓挨拶として3名の国会議員からの挨拶、精神、知的、難病、身体の各障害者団体のアピールが行われた。各団体それぞれからは介護保険と統合への懸念や不安、障害者の地域生活が崩壊への危機感、拙速に議論を進める厚生労働省への強い不信感が表され、障害者の地域生活確立への訴えが続いた。会場にもその熱気は広がり「統合反対」「障害者地域生活確立」への大きなうねりとなった。

集会は約1時間続き、最後に厚労省へ向けたシュプレヒコールが高らかに挙げられデモ行進、国会議員への要望書提出へと移った。国会議員への要望書提出は衆参厚生労働委員会の議員70名を対象に議員会館へ出向き、厚生労働省へ代表団が提出した申し入れ書を提出した。国会会期中ということもあり不在の議員も多かったが、対応に出た人に要望の趣旨を説明し必ず議員の下へ届くよう働きかけを行った。

他方デモ隊は「障害者の地域生活の確立を!−介護保険統合も一般財源化もNO!国は全ての障害者の地域生活に対する責任を果たせ!−」という横断幕を先頭に日比谷公園を出発。1200人におよぶデモ隊の列は、霞ヶ関をぐるりと一回りほぼ取り囲むような形になった。参加者は皆、霞ヶ関に響きわたる大きな声で「介護保険統合反対」を叫び、国が障害者の声をしっかりと受け止めるように強く訴えその歩を進めた。

約1時間半のデモ行進を終え参加者は厚労省、財務省、総務省前に陣取り「障害者地域生活確立」を訴えるビラを配りアピールを行い、同時に約30名の代表団が厚労省に入り厚労省への申し入れと交渉を行った。(代表団交渉の報告は下記参照)3カ所のアピールでは全国から集まった障害者が次々にマイクを握り、その切なる思いを叫びにした。「障害者が地域で生きる権利を奪うな」「介護保険への統合反対」「一般財源化反対」実際に地域で支援を受けて生活する人々の重みのある言葉が発せられ、力強い訴えが続いた。最後には議員会館、財務省、総務省から戻った人達も加わり、厚労省前には人があふれかえり道路を挟んだ日比谷公園側歩道も埋める状態となり代表団の帰りを待った。

17:00過ぎ、代表団が厚労省との申し入れ・交渉を終え戻り、厚労省側と「6月18日前後に、本日の申し入れに対する回答とやりとりを、責任を持った者が出席して行う」との確認を得たことを報告した。これを受けて、楠氏の挨拶と参加者全員でもう一度シュプレヒコールを挙げ行動は終了した。

 今回、私達は障害者団体として「介護保険への統合反対」の姿勢を初めて表明しアピール行動を行ったが、もちろんこの行動だけで統合への議論が白紙に戻されたわけではない。いわば今回は反対行動の第一波といえる。この統合への議論が始まった当初、障害保健福祉部長は「障害者団体の反対することは、進められない」と話していた。それでも代表団の報告にもあるように、国は社会保障審議会障害者部会において6月18日の障害者団体のヒアリングを経て6月25日の部会で中間とりまとめを行うスケジュールに沿って議論を進めている。今回の申し入れへの対応や、社会保障審議会の議論の推移には今後も注視が必要であることには変わりはなく、事態によっては近いうちに第2、第3の行動が必要となることもあり得る。1200人が叫びを挙げたシュプレヒコールのとおり私たちは「最後の最後まで戦う」決意である。

 最後となりましたが、今回、呼びかけが短い期間だったにもかかわらず、全国から約1200人の参加をいただき、また475団体、52名の個人から賛同の意志表明を頂きました。大人数での行動となりましたが、皆様の協力のおかげで大きな混乱もなく終了することができました。この場を借りて、参加者皆様、賛同して下さった団体の方々に感謝いたしと思います。


交渉団報告(6.9)
障害別を超えた全国475団体の賛同を力に交渉
 厚労省・財務省・総務省前でのアピールと平行して、代表団による厚生労働省への申し入れと交渉を行った。
 呼びかけ団体の代表に加えて、全国各地から、そして、身体、知的、難病と障害別を超えた仲間約30名が参加し、鋭い追及が繰り広げられた。
 厚生労働省からは、障害福祉課から坂本課長補佐、渡辺専門官、精神障害保健福祉課から総務課の藤谷課長補佐が出席した。
 冒頭、申し入れ書を読み上げ、475の団体が賛同していることを付け加えて提出した。
 申し入れに対する回答を求めると、「本日は申し入れを受け取るということで設定したので、責任ある回答ができない」との形式的な対応を当初は繰り返していた。しかし、参加者から、「社保審・障害者部会では6月25日にとりまとめを行う予定になっているではないか。ちゃんと我々の要望に答えろ」と次々に声があがる。
 「1月に塩田障害保健福祉部長が『障害者団体の反対することは、進められない』と言った発言は、今も生きているのだろう」「今日、これだけ沢山の仲間が集まって反対の声を出している、そのことをどう考えているのか」との追及を行った。
 それに対して、「障害者団体の中にも意見があり、賛成している団体もある」と居直りとも言える回答に対して、ピープルファーストの仲間からは「ピープルファースト介護保険に統合しないでほしいと反対の声を上げている」との発言があった。さらには、「今日の行動には、身体、知的、精神、難病という枠を超えて集まっている。地域で障害者の自立支援をしている団体は障害別を超えて反対、不安の声が多い。それを押し切るつもりか?」との声があがる。
統合に賛成・反対−二者択一の議論を迫っているのは厚労省だ!
−6月18日前後に申し入れに対する回答と交渉を確認
 厚労省側は、「現状の介護保険に統合されることに不安があるのはもっとも。しかし、現状の介護保険への統合に賛成か反対かの二者択一ではなく、色々な案を出し合う議論をしてほしい」との説明を行った。だが、「具体的な内容を明らかにせず、二者択一の議論を迫っているのは厚労省ではないか」「6月4日の審議会でも内容のないたたき台しか出ていないのに、後2回の議論で拙速にまとめようとしているではないか」「具体的な案はいつ出るのか」と次々に追及。
 それに押されたのか、「6月25日の部会に具体案が出る予定」との発言があった。言うまでもなく、6月25日は障害者部会最終日。「最終回に突然、とりまとめメモのような代物を出して、議論もさせずにまとめるつもりか!」「今日の申し入れにちゃんと答えろ!」と追及は進む。
 さらに、ALS協会の方からは「介護保険が始まった時に、どれだけALS(筋萎縮性側索硬化症)の者は苦しんだか分かりますか。介護保険に問題があったから、多くの仲間が在宅での生活ができず、家族も苦しんでいる。去年、やっと支援費が始まって在宅での生活ができるようになったと思ったら、また介護保険への統合というのは無茶苦茶。私たちにとっては生命に関わる問題。責任をもって答えてほしい」と切実な声が出された。
 精神障害当事者からは、「介護保険に入ったら精神も身体や知的と同じようなシステムになるということが急に言われだしている。しかし、精神障害の当事者団体は以前から支援費制度のシステムに精神も入れてほしいと言ってきたのに無視されてきた。そのことについてどう考えているのか。これまでの施策の総括を真面目にしてほしい」との提起があった。
 そうしたやりとりの末、「6月18日に団体のヒアリング、25日に部会のとりまとめというスケジュールがあるのだから、18日までに私たちの要望に対する回答とやりとりの場を持ってほしい」との提起を行った。
 何度かのやりとりの末、「6月18日前後に、本日の申し入れに対する回答とやりとりを、責任を持った者が出席して行う」との確認をし、交渉を終えていった。
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